溺れたスペルマ

1人の少年は言う。

『まだ死んだらダメだよ』

一人の少女はいう。

『もう私がいる意味なんてないの。』

2人は抱擁して滑らかに接吻へ移り馬乗りになる。

泥臭いその物を咥える少女を見て少年は初めてその快楽を知る。

やがてカルキのような匂いのする液体を吹き出し、ヨダレと共に少年の口へ流し込む。

吐瀉物と、白い液体が少年の口から少女の口から流れ込む。

そんな熱い、夏の夜を過ごしていた…。

 

 

 

 

 

「夢を見たんだ。」

今日、風呂の中で溺れる夢を見た。

 

 

そうやって幼い僕は母親に伝えた。

母親は怖かったね、と僕を抱きしめてくれた。

 

僕の母親は僕に対して優しかった。

うまれつき体が弱い僕は甘えてばっかりだった。

そのせいか、1人でいると怖くなった。

誰かがいないと前を向けない、

誰かがいないと歩けない、

1人でこの世を生きるのが怖かったんだ、

なのに周りは

「マザコンだ」「気持ち悪い」

と僕に暴言を放つ。

どうして、なんで?

 

人間は1人では生きていけない

何かしらみんなで協力して生きているのに

なぜ甘えるのがダメなの?好きに生きるのがダメなの?

 

 

時が流れ、そんな僕は中学校へ進学した時だった。

一人の女の子に恋をした。

結果は祝福、結ばれた。

毎日手を握って、好きだよって言った。

肌を合わせられた時はドキドキした。

その時だった、始めて を知ったのは。

 

興奮する夜、僕は自分の性器を擦った。

初めて自分で快感を覚えた時だった。

ぬるりと出てくるその濁った液体をちり紙へ出し、包み込む。

締め付けるような後悔と性欲への好奇心を知った瞬間であった。

 

 

 

暑い暑い夏。

僕は彼女の家へ行った。

いつもより女の子らしい彼女に僕は「興奮」していた。ドキドキしていた。

彼女の部屋はいい匂いだった。

ベッドへ向かいたいその気持ちを抑えて床へ座りたわいのない話をする。

話が一段落つき、彼女がため息をついて部屋から出ていこうとした時だった

耐えられなかった。後ろから抱きしめた。

彼女の鼓動が聞こえた。僕の心音が少しづつ早くなっている。

これ以上してたら恥ずかしさで心がイカれてしまうと思いハグを辞めた瞬間だった。

「もっとして」

そういう言葉が聞こえた。

正面を向かせて、彼女の背中を触る。

暑い暑い夏の日だから服が薄い。

辿っていき、下着の感覚がわかってしまった。

このまま進んでいいのかな、でも彼女はちょっと呼吸が荒くなっていた。

僕は彼女の口に口を近づけた。

 

ベッドへ移動した。

服をぬがして彼女を押し倒し彼女の舌を舐めてみる。

透明の唾液。無味なはずなのに少し甘い味がした。

もう抑えられなかった。やる所までやろうか。

そう思い僕は彼女の咡と自分の陰を入れた。

息が荒くなる。もう離したくない。

 

ぬるりと出てくる液体。

少し出てくる透明の水。

君だけに見せるその液体…行為…それはまるで二重奏のよう、歌のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が死んだ。

 

妊娠していたみたい。

 

風呂で溺死していた。

 

 

そう遺書に書いてあった。

誰にも言えない辛さを抱えた。

ゴムもしっかりとした、対策はした

 

でも無理だった。

僕は彼女を『殺した』

 

脳内が真っ白になる

なんで

脳内が暗闇に包まれる

なんで

脳内に彼女の姿が見られた

なんで

彼女の親に殴られて、僕の親にも罵倒された

 

生きるだけ無駄だ

そうか、

 

カルキみたいな匂いのする自分が嫌になった。

本能、性欲、栗の花

 

 

腐った交際だった、

廃棄したい。ゴミ収集車はどこへ行ったの?

性欲へ向かう時は猿のよう、IQのない園児のよう。

僕は園児だった。

まだ義務教育に入れてすらない。

 

彼女の死体がそこへあった。

見てしまった。

葬式はまだであった。

 

僕はバレないように彼女の死体を自分の部屋へ運んだ。

目を瞑っていた。口が空いて必死にもがいていたのかなっていうのが想像できた。

 

そういえば僕との子はどんな子なのかな…?

 

 

 

 

禁断。

切断。

溢れ出てくる血の塊。

臭う鉄、

カルキ、

生命の腐敗。

 

腹を抉り、子宮の中を見てみた。

 

まだ人間とは言えない、黒くなっているその生命体がひとつの管につながっている。

それは胎盤へと繋がっていた…?

 

酸素を消して迎えた君へ、

この詩を送ります。

 

 

僕は胎盤を剥がして、抑えられない興奮を発散させる。

繋がった管で性器を包み、遺体の性器を舐め、胎盤で亀頭を擦る。

これで一緒だね

一生離れないね

遺体はどこかへ行ったって嘘をつこう。

 

出ていった精子をその生命体に腐敗した遺体へかける。

 

何故だろう、少しだけ微笑んだかのように見えた。嬉しいのかな。

 

カルキ、栗の花、ザーメン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の顔から黒目が消え、白く、その精液のような目。

 

僕はその目を抉りだして、自分の精液へ包み込ませた。

目から流れる赤い血と濁る白い少量の液体が自分の目を包んだ。

黒目が白と赤の液体に溶け込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は雨が降っていた。

雨の匂いと体臭と血液。

生命が滅びた時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

埋葬。

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