それぞれの、終わり方

終わるってなんだろう

 

命が終わる時か

 

物語が終わる時か

 

使える期間が終わる時か

 

灰になって散るか

見守られながら息絶えるか

不要だ、と捨てられるか

 

天才もバカも平凡も

みんな土へと眠る時は来る

 

どれだけ泣こうが怒ろうが

叫ぼうが吐こうが喚こうが

 

終わりは来る

 

始まりがあるなら、終わりもある

 

人間なら死んでしまうこと…が終わりかな

 

この物語は途中で終わらすことも可能なんだ

 

苦しくて

泣きたくて

吐きそうで

逃げたくて

なにもかも嫌になって

どうしようもなくなって

 

でも

終わりは来るよ

 

誰かのために動くか

自分のために守るか

 

体が重く動けなくなってしまったあの日

錆びてしまうんじゃないかって感じた時

もう全てから逃げたい今

未来なんて真っ暗なんだっていう思考

 

でも、生きないと

失ったものは還ってこない

 

 

消えたいとか苦しいとか

偽りなんかじゃない

本当なんだ

 

けれど甘えてはいられない

 

せめて、今は生物らしく

 

死にたい気持ちを抑えて…さ

 

 

 

 

 

生きよ。

ゆっくりでいいから。

欠陥

「周りと比べる」

 

これがどれだけ劣等感を覚える行為か、分かるだろうか?

 

「周りの人はこれができるのに俺はこんなことすら出来ない、欠陥品だ」

そんな思考が頭をぐるぐると駆け巡る 

 

今日もろくに為にならない知識を右から入れて苦く裂けるようなものを左から出す

 

世間からのブーイングが聞こえる

聞いた覚えのない耳鳴りが今日もまた孤独の夜を駆け巡る

将来と今の不安を背中に抱えて腰が曲がる

老化は進む

人生を謳歌できると考えていた過去の俺は死んでしまった

「自分で自分を殺してしまった、生きてはいるけど。

今の俺は俺じゃない。

『欠陥した人間だ』」

 

例えば風船は宙に舞うと割れたり天井がない限り上へ上がっていくだろう

ただ俺の見えてる時点は違った

下へ向かうのだ

大地へ巡るのだ

まだ『肉体』というのがあるのに

もう土へ帰りたいという思考がある

俺とは違って上に動くことが出来るのにわざわざ下に逝くなんてね

悲しいと思わないか?

お前は転生したら何になるんだ?

土に篭もる生物?

それか因果応報に期待してあの世で努力するのか?

土にはこもらず空を羽ばたく鳥へとなるのか?

安心しろ、お前みたいな奴は俺が打ち落としてやるから

嫌なら俺から離れろよ

死んでしまうぜ

 

今日も味のしない生物の死体を胃に流し込む

交配して気持ちよくなったのか?こいつらは

セックスは快楽と生命誕生へ導く最低な手段だぜ

下手すりゃ人生狂わせることも出来るからな

Hey bitch?

無駄な生命のために腰振るのはやめな

振るのは腰じゃなくててめぇの人生にしろ

その腐った棒と共にな

「快楽」以上の後悔を味わえよ

そして俺は今日も糖分を過剰摂取して、「過労死寸前」で生きる

 

Saturday

人生の光も去ってくそんな日

Sunday

日曜とかほざいてるくせに影しか出ない

そしてそれを具現化したMonday、月曜日

まぁ月という奴はせいぜい太陽という輝いた完成されしものがいないと輝けないもんな

なぁ、お前も余程の欠陥だろ?

そのボコボコに凹んだ皮膚はどうなってるんだ?

 

やがて今日も夜が来て朝を迎える

抑制できない気持ちを吐くことも出来ず

今日も塩辛い液体を流し

架空の致命傷を背負い

現実と戦う

 

 

『人生なんて楽しんだもん勝ち?

楽しめない側の意見なんて聞いてないくせに

敗北者の意見は耳にすらしねぇんだな』

 

欠落した人間.

Wの空間

ピピピ、ピピピ…

鳴り響くアラームを止め、今日もまた俺はやるべき場所へ向かう

正直この頃憂鬱だ。今後のことをなんで考えないといけない。今を楽しんでいきたい俺からしたら一日先のことを予定することすら精神的に参ってしまうというのに、なぜ将来のことを予測して動くという無駄なことを。必ずしも将来そうなるとは限らないのに。

そう思いながら身支度を済ます。

眠い目をこすりながらなんとか玄関まで行き、外へ出る。

車の鍵を左手に持ちながら駐車場へ向かう…

 

その時だった。

突然目の前からトラックが現れた。

鳴り響くクラクション、衝突。

跳ねられ、床に落ちるまでがスローモーションに移る。今まで生きたこと、家族のこと、友人のこと…これが『走馬灯』というものなのか?

バタッ、と床に俺は叩きつけられた。その時から少しづつ意識が消えていく。人の声が聞こえた気がするけれどもう何も残らない、聞こえない、響かない…

 

頭痛、耳鳴り、鼻を突き刺すような匂い。

俺はふと目が覚めた。頭痛が響いているがそもそもあの衝突で生きているのか、という関心の方が大きくて痛みなど置いて行っていた。

しかし、目を覚ましたのは病床…

 

ではなく、ただただ白色が続く空間であった。

そう、『白色』『White』である。

なんなんだ?この空間は。

だだっ広い白色の空間。底なしの空間。

とにかく、歩かないと話にならない。もしかしたら誰かいるかもしれない。

俺は戸惑いながらも冷静に、足を踏み出してみることにした。

 

耳鳴りが響く、病床のようなあの独特な匂い。

終わりのないその白い空間をまた1歩、1歩と足を踏み入れる。

なんなんだこの空間は。病院では無い…

もしかしてこれが俗に言う『死んだ後の世界』というものなのか?

そう思うと体が震えた。

本当に死んでしまった…いや、あの衝撃で死んでないのは逆におかしい。

…ならもしそんな世界なら人1人居ても良くないか?この世は何人もの人がこの瞬間も死んでいるからいない方が逆におかしい。もしかして一人一人生まれた瞬間に「あなたはこの世界に入る」と勝手にプログラミングされているのではない…のか?

そんな想像に走っていると…人影が。

人だ、人間がいる。

そう思い俺は走った。もしかしたらこの世界の住民…?それともあなたも死んだ人?

そんな思考が周りその人の元へ。

紫のワンピースを着ていて、何故か素足である。

「あの…あなたは何故ここに…?」

そう声をかけてみる。しかし…彼女は振り向かない。

まるで俺のことが見えていないかのごとく、この白色の壁を見ながら茶色の髪を触っている。

「あの…聞こえてますか?俺のことが、見えますか?」

何も返事がない。

肩を叩いて見たが感触がない。それどころかすり抜けてゆく。

…そうか、これは幻覚か…それとも何かから映し出されているのか…

疑問で脳が埋め尽くされる。

その少女は歩き出した。どこへ行くのだろう。俺もついて行くことにした。なにかに導かれるかもしれない。

 

歩いてから何分が経っただろう。無言でひたすら歩く少女。

終わりのない白い空間に身を包まれそうだ…ここに出口は無いのか?と不安になっていた。

その時、少女の足が止まった。

突然少女はこちらを見て何かを渡してきた。

俺それを受けとり、見てみた。

それは手紙のようなものでとても長い文章であった。

『初めまして。

私は…と言っても私に名前は無いのですが。

いわば私はAI、人工知能であるから。

親というものは特にいません。表記できません。

さて、あなたは今この世界はなにかと思われるかもしれませんが、はっきり言うと私にも分からないのです。

ただ1つ言うならば私はここの住民…ということにプログラムされています。

なぜこの世界が存在するか、なぜこの世界に時々人が来るかは分かりません。

私自身も分からないのです…路頭に迷わせて、本当にごめんなさい。

ただ私に会った、ということはめげずにこの空間から抜け出そうという思考があるわけですね。

そんな方に私はこの手紙と切符を渡すようになっています。

あと、この切符はもし現実の世界に帰れたら勝手に消滅されるようになっています。そもそもこの世界の記憶すら無くなってしまいますので。

長くなりましたが、現実世界でも諦めずに、歩き続けてくださいね。ありがとう。』

 

…この世界はよく分からないものが多い。

そんなことを思いながら下の方に付いている切符を手にする。

その時、だった。

急に、本当に急に。

瞬きしたら駅にいたのだ。深夜の駅、駅のメロディーが鳴り響く。

先程とは真逆な暗闇の中、電車がこちらの方へ向かう。

『如月駅、如月駅』

 

2月も中旬

白い雪が俺たちを包む。

あの少女は今、何をしているのだろう。

明日もまたこの身を動かさなければならない。

 

新しく巡る春へ向かって。

 

(2023/03/18 11:12:32)

椿

溺れたスペルマ

1人の少年は言う。

『まだ死んだらダメだよ』

一人の少女はいう。

『もう私がいる意味なんてないの。』

2人は抱擁して滑らかに接吻へ移り馬乗りになる。

泥臭いその物を咥える少女を見て少年は初めてその快楽を知る。

やがてカルキのような匂いのする液体を吹き出し、ヨダレと共に少年の口へ流し込む。

吐瀉物と、白い液体が少年の口から少女の口から流れ込む。

そんな熱い、夏の夜を過ごしていた…。

 

 

 

 

 

「夢を見たんだ。」

今日、風呂の中で溺れる夢を見た。

 

 

そうやって幼い僕は母親に伝えた。

母親は怖かったね、と僕を抱きしめてくれた。

 

僕の母親は僕に対して優しかった。

うまれつき体が弱い僕は甘えてばっかりだった。

そのせいか、1人でいると怖くなった。

誰かがいないと前を向けない、

誰かがいないと歩けない、

1人でこの世を生きるのが怖かったんだ、

なのに周りは

「マザコンだ」「気持ち悪い」

と僕に暴言を放つ。

どうして、なんで?

 

人間は1人では生きていけない

何かしらみんなで協力して生きているのに

なぜ甘えるのがダメなの?好きに生きるのがダメなの?

 

 

時が流れ、そんな僕は中学校へ進学した時だった。

一人の女の子に恋をした。

結果は祝福、結ばれた。

毎日手を握って、好きだよって言った。

肌を合わせられた時はドキドキした。

その時だった、始めて を知ったのは。

 

興奮する夜、僕は自分の性器を擦った。

初めて自分で快感を覚えた時だった。

ぬるりと出てくるその濁った液体をちり紙へ出し、包み込む。

締め付けるような後悔と性欲への好奇心を知った瞬間であった。

 

 

 

暑い暑い夏。

僕は彼女の家へ行った。

いつもより女の子らしい彼女に僕は「興奮」していた。ドキドキしていた。

彼女の部屋はいい匂いだった。

ベッドへ向かいたいその気持ちを抑えて床へ座りたわいのない話をする。

話が一段落つき、彼女がため息をついて部屋から出ていこうとした時だった

耐えられなかった。後ろから抱きしめた。

彼女の鼓動が聞こえた。僕の心音が少しづつ早くなっている。

これ以上してたら恥ずかしさで心がイカれてしまうと思いハグを辞めた瞬間だった。

「もっとして」

そういう言葉が聞こえた。

正面を向かせて、彼女の背中を触る。

暑い暑い夏の日だから服が薄い。

辿っていき、下着の感覚がわかってしまった。

このまま進んでいいのかな、でも彼女はちょっと呼吸が荒くなっていた。

僕は彼女の口に口を近づけた。

 

ベッドへ移動した。

服をぬがして彼女を押し倒し彼女の舌を舐めてみる。

透明の唾液。無味なはずなのに少し甘い味がした。

もう抑えられなかった。やる所までやろうか。

そう思い僕は彼女の咡と自分の陰を入れた。

息が荒くなる。もう離したくない。

 

ぬるりと出てくる液体。

少し出てくる透明の水。

君だけに見せるその液体…行為…それはまるで二重奏のよう、歌のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が死んだ。

 

妊娠していたみたい。

 

風呂で溺死していた。

 

 

そう遺書に書いてあった。

誰にも言えない辛さを抱えた。

ゴムもしっかりとした、対策はした

 

でも無理だった。

僕は彼女を『殺した』

 

脳内が真っ白になる

なんで

脳内が暗闇に包まれる

なんで

脳内に彼女の姿が見られた

なんで

彼女の親に殴られて、僕の親にも罵倒された

 

生きるだけ無駄だ

そうか、

 

カルキみたいな匂いのする自分が嫌になった。

本能、性欲、栗の花

 

 

腐った交際だった、

廃棄したい。ゴミ収集車はどこへ行ったの?

性欲へ向かう時は猿のよう、IQのない園児のよう。

僕は園児だった。

まだ義務教育に入れてすらない。

 

彼女の死体がそこへあった。

見てしまった。

葬式はまだであった。

 

僕はバレないように彼女の死体を自分の部屋へ運んだ。

目を瞑っていた。口が空いて必死にもがいていたのかなっていうのが想像できた。

 

そういえば僕との子はどんな子なのかな…?

 

 

 

 

禁断。

切断。

溢れ出てくる血の塊。

臭う鉄、

カルキ、

生命の腐敗。

 

腹を抉り、子宮の中を見てみた。

 

まだ人間とは言えない、黒くなっているその生命体がひとつの管につながっている。

それは胎盤へと繋がっていた…?

 

酸素を消して迎えた君へ、

この詩を送ります。

 

 

僕は胎盤を剥がして、抑えられない興奮を発散させる。

繋がった管で性器を包み、遺体の性器を舐め、胎盤で亀頭を擦る。

これで一緒だね

一生離れないね

遺体はどこかへ行ったって嘘をつこう。

 

出ていった精子をその生命体に腐敗した遺体へかける。

 

何故だろう、少しだけ微笑んだかのように見えた。嬉しいのかな。

 

カルキ、栗の花、ザーメン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の顔から黒目が消え、白く、その精液のような目。

 

僕はその目を抉りだして、自分の精液へ包み込ませた。

目から流れる赤い血と濁る白い少量の液体が自分の目を包んだ。

黒目が白と赤の液体に溶け込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は雨が降っていた。

雨の匂いと体臭と血液。

生命が滅びた時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

埋葬。

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